『何を書くか』ではなく『何を読むか』から心理状態を捉える―国際学会IC2S2 2026で研究発表
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2026年7月29日~31日に米国バーモント州バーリントンで開催された国際学会 The 12th International Conference on Computational Social Science(IC2S2 2026) において、研究成果を発表しました。
IC2S2は、計算科学、ネットワーク科学、データサイエンスなどの手法を用いて、社会現象を分析する「計算社会科学(Computational Social Science)」分野の国際会議です。
今回、以下の研究について発表しました。
Blog-Reading Histories as Networks for Identifying Parents with High Parenting Stress
Authors:Kenji Yokotani, Masanori Takano, Nobuhito Abe, and Takahiro Kato
本研究では、「どのようなブログを書いているか」ではなく、「どのようなブログを読んでいるか」から、子育て中の保護者の心理状態を捉えることができるのかを検討しました。
これまで、ブログやSNSへの投稿内容には、その人の性格や心理状態などが反映されることが知られてきました。一方で、その人が「何を読んでいるのか」という閲覧行動については、心理状態との関連が十分に検討されていません。
そこで本研究では、Amebaのアカウントを持ち、18歳未満の子どもを養育している保護者980名を対象として、過去3か月間のブログ閲覧履歴を分析しました。
分析対象となったのは、881,354件のブログ記事と、保護者と閲覧記事を結ぶ1,262,033件の関係(エッジ)です。これらを「読者―ブログ記事」のネットワークとして捉え、子育てストレスとの関連を分析しました。
その結果、子育てストレスが高い保護者では、ストレスが低い保護者と比較して、
ネガティブな感情を示す語を多く含む記事
家族に関するネガティブな感情を表現した文章
夫婦関係への不満
子育て上の困難
自己批判
などを特徴とするブログ記事を、より多く閲覧している傾向が確認されました。
さらに、こうした「誰が、どの記事を読んだか」というネットワーク構造を機械学習によって分析することで、子育てストレスの高い保護者を一定程度識別できる可能性が示されました。
この研究の興味深い点は、SNS上で本人が発信した文章だけでなく、「何に関心を向け、どのような情報を読んでいるのか」という閲覧行動そのものにも心理状態が反映される可能性を示したところにあります。
一方、本研究は個々の利用者を診断したり、実際のスクリーニングや介入サービスを行ったりすることを目的としたものではありません。今回の結果は、ブログ閲覧行動をネットワークとして分析することで、子育てストレスを早期に把握するための新たな方法論につながる可能性を示したものです。
今後も、心理学・ネットワーク科学・AI/機械学習を組み合わせ、人々の心理状態や社会的行動を理解するための研究を進めていきたいと思います。



























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