AIはセラピストになれるのか?―新刊『AIセラピストの構築』を刊行します
- 20 分前
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このたび、北大路書房より、拙著
『AIセラピストの構築―臨床行動情報学がひらく心理療法の世界』
を刊行することになりました。
本書では、「AI時代に、心理療法や臨床心理学はどのように変わっていくのか」という問いを出発点として、これまで取り組んできた臨床心理学、行動データ分析、機械学習、大規模言語モデル(LLM)に関する研究を整理し、「臨床行動情報学」という観点からまとめています。
近年、スマートフォン、SNS、オンラインゲームなどを通じて、人の心理や行動に関する非常に多くのデータが蓄積されるようになりました。また、ChatGPTに代表される大規模言語モデルの登場により、AIが人と自然な対話を行うことも可能になりつつあります。
こうした技術は、心理療法やメンタルヘルス支援をどのように変えていくのでしょうか。
本書では、従来の心理面接や心理尺度だけでは捉えにくかった人々の心理状態を、日常生活の中で生じる行動データから理解する方法について紹介しています。
具体的には、
音声情報を用いた心理状態の推定
ブログの閲覧履歴からみた慢性ストレスの推定
オンラインゲームの行動ログを用いた社交不安の推定
AI友人を用いたギャンブル問題への心理的支援
AIセラピストを用いた不安症状への介入
オンラインゲームを利用した抑うつ症状への介入
深層学習を用いた違反行動や犯罪発生地点の予測
大規模プラットフォームにおける問題行動の予防
など、実際の研究事例をもとに、AI・行動データと臨床心理学をどのように結びつけることができるのかを解説しています。
また、後半では、研究成果を紹介するだけでなく、実際にLLMエージェントを構築する方法についても扱っています。Google Colabを用いた環境構築から、プロンプト、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)、ローカルPC上でのLLMエージェントの構築までを取り上げました。
「AIがセラピストに取って代わる」のではなく、「AIとセラピストがどのように協働するか」
本書で考えたい中心的なテーマの一つは、AIによって人間のセラピストを置き換えることではありません。
むしろ、AIや機械学習が得意とする大量データの処理や継続的な状態把握と、人間のセラピストが担う臨床的判断、関係形成、倫理的判断をどのように組み合わせるか、という問題です。
今後、心理職の仕事には、AIを単に「使う」だけではなく、AIが行った査定や介入を評価し、必要に応じて修正し、最終的な責任を担う役割も求められるようになるかもしれません。
その意味で、本書のタイトルにある「AIセラピストの構築」は、単にチャットボットを作ることだけを意味しているわけではなく、AIと人間のセラピストが協働する新しい心理支援の仕組みをどのように構築するかという、より広いテーマを扱っています。
臨床心理学と情報科学のあいだをつなぐために
臨床心理学とAI・データサイエンスは、一見するとかなり異なる分野です。しかし、人間の心理状態を理解し、より良い支援につなげるという点では、両者には共通する目的があります。
本書が、心理学・臨床心理学を学ぶ方にはAIやデータサイエンスに触れるきっかけとなり、情報科学やAIを研究している方には心理支援という新しい応用領域を知っていただくきっかけになれば幸いです。
また、心理職、大学院生、研究者だけでなく、AIを用いたメンタルヘルス支援やデジタルメンタルヘルスに関心を持つ方にも手に取っていただければと思います。
書籍情報
『AIセラピストの構築―臨床行動情報学がひらく心理療法の世界』
著者:横谷謙次出版社:北大路書房発売予定日:2026年9月5日ISBN:978-4-7628-3335-9
























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