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臨床行動情報学とは

臨床行動をデータとして捉え、AIと情報学によって心理支援の理解・予測・介入・社会実装を進める。

なぜ臨床行動情報学が必要か

メンタルヘルス支援への需要が高まる一方で、専門家による支援にアクセスできない人、支援につながっても継続が難しい人、支援の質や安全性を十分に評価できない場面が少なくありません。心理面接、相談記録、心理尺度、生活ログ、オンライン上の行動など、メンタルヘルスに関わる多様な臨床行動データは日々生み出されていますが、それらの多くは十分に構造化・解析・活用されていません。
臨床行動情報学は、クライエント・利用者と支援者の発話、感情、行動、関係性、治療反応を計算可能なデータとして捉え、AI・データサイエンス・情報学的手法によって、心理状態の理解、支援の質向上、有害事象の予防、未治療ギャップの低減、持続可能な支援サービスの実現を目指します。
また、臨床行動データは、高次元、時系列、対話的、少数ラベル、高感度、倫理制約付きという特徴を持ちます。そのため、臨床行動情報学は単なるAI応用ではなく、複雑な人間行動データをどのように表現し、予測し、支援に結びつけ、安全に社会実装するかを問う情報学的研究領域でもあります。

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臨床行動情報学とは
臨床行動情報学とは、クライエント・利用者と、臨床家・支援者・AIシステムの思考、感情、発話、行動、関係性を計算可能な臨床行動データとして捉え、その生成、収集、構造化、蓄積、解析、予測、介入、社会実装に至る過程を科学的に探究する学問分野です。 

臨床行動データと行動ベクトル

ここでいう臨床行動とは、メンタルヘルス上の問題を抱えている、またはそのリスクを有する人々と、その支援に関わる人々・システムの行動を指します。臨床行動には、発話、表情、記録、心理尺度、生活ログ、対人相互作用、治療反応、支援者の判断などが含まれます。

また、行動ベクトルとは、臨床行動を数値配列として表現する概念です。発話内容、感情、症状、生活行動、対人関係、治療過程などをベクトル、時系列、ネットワークとして表現することで、臨床行動を機械学習、統計モデル、シミュレーション、AI支援システムで扱えるようにします。

臨床心理学への貢献

  1. 支援者の熟達化とクライエントとの共有
    セラピー中の臨床行動をデジタル情報として記録・可視化することで、クライエントと支援者が治療の進捗を共有し、支援者の学習と熟達化を促す。

  2. 治療機関・支援組織の効率化と安全性向上
    臨床行動データを組織内で蓄積・解析することで、記録、評価、リスク把握、ケース共有を効率化し、有害事象の予防に寄与する。

  3. 未治療ギャップの低減
    AIや情報メディアを活用することで、支援を必要とする人々がメンタルヘルスサービスにアクセスし、継続利用しやすい環境を構築する。

情報学への貢献

  1. 臨床行動データの表現学習とそのデータに潜む規則性の解明
    臨床行動データをベクトル・ネットワーク・時系列として表現し、心理状態、治療過程、行動変容に関わる数理的規則性を明らかにする。

  2. 人間とAIの協働プロトコルの設計
    臨床家、クライエント、AIシステムがどのように情報を共有し、判断し、支援するべきかをHCI(Human-Computer Interaction)の観点から検討し、人間社会とコンピュータの適切な関係規約を構築する。

  3. 高リスク領域における信頼できるAIの構築
    メンタルヘルス支援という高リスク領域において、誤判定、有害応答、プライバシー、説明可能性、公平性を考慮したAIシステムをTrustworthy AIの観点から設計・評価方法を発展させる。

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臨床行動情報学の5つの柱

  1. 査定
    臨床行動データから、心理状態、症状、リスク、治療反応を推定する。

  2. 介入
    AI・情報メディアを用いて、クライエントの行動変容や心理的回復を支援する。

  3. 地域援助
    家族、学校、職場、地域、オンライン環境など、クライエントを取り巻く環境への支援を設計する。

  4. 計算モデル
    疾患、治療過程、対人相互作用、行動変容を予測・説明する計算モデルを構築する。

  5. 社会実装
    臨床現場や支援組織の日常業務にAI・情報メディアを組み込み、安全で持続可能な支援サービスを実現する。

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研究テーマ例

本研究室では、臨床行動情報学の5つの柱に基づき、以下のような研究に取り組んでいます。

1. 査定

大規模言語モデルによる心理・精神症状評価

心理面接逐語録からの治療進捗やリスクの推定

ブログ、SNS、生活ログを用いたメンタルヘルス状態の推定

2. 介入

AIチャットボットによる依存症、不安、抑うつへの心理支援

クライエントの行動変容を促すデジタル心理支援システム

心理教育・再発予防を支援する対話型AIの開発

3. 地域援助

家族、学校、職場、地域、オンライン環境における支援ニーズの分析

福祉・教育・地域支援におけるAI活用の設計

メンタルヘルス支援へのアクセスを高める情報メディアの活用

4. 計算モデル

疾患、治療過程、対人相互作用、行動変容を予測する計算モデル

メタアナリシスと知識グラフを用いたケースフォーミュレーション支援

臨床判断とAI推定の一致・不一致を説明するモデルの構築

5. 社会実装

臨床・福祉・教育現場におけるAI支援ツールの導入と評価

人間とAIが協働する心理支援プロトコルの設計

安全性、説明可能性、公平性を考慮したメンタルヘルスAIの実装

教育・院生募集

本研究室は下記のような学生・院生を募集しています。


​•  臨床心理学とAI・データサイエンスを結びつけたい大学院生 
•  心理面接、心理尺度、精神症状評価を情報学的に研究したい方 
•  自然言語処理、機械学習、LLMをメンタルヘルス支援に応用したい方 
•  臨床・福祉・教育現場で使えるAI支援システムを開発したい方 
•  人間とAIが協働する支援のあり方を研究したい方

 

共同研究・社会実装

本研究室では、医療機関、福祉施設、教育機関、自治体、企業との共同研究・社会実装を歓迎しています。臨床心理学と情報学の知見を組み合わせ、現場で生じている課題を、データ解析、AI支援、評価研究、システム設計を通じて解決することを目指します。

共同研究の例

  • 相談記録、心理面接、支援記録を活用した支援プロセスの可視化

  • 心理尺度、生活ログ、テキストデータを用いたメンタルヘルス状態の把握

  • AIチャットボットを用いた心理教育、再発予防、相談導線の構築

  • 福祉・教育・地域支援におけるAI支援ツールの導入と効果検証

  • 支援者の記録業務、ケース共有、リスク把握を補助するシステムの開発

  • 人間とAIが安全に協働するための運用ルールや評価指標の設計

 

共同研究で重視すること

 本研究室では、AIを人間の専門家を置き換えるものではなく、支援者と利用者を補助する技術として位置づけています。共同研究では、個人情報保護、研究倫理、安全性、説明可能性、公平性を重視し、現場の支援者・利用者と協働しながら、持続可能な支援の仕組みを検討します。

倫理・安全性の方針
 

本研究室では、メンタルヘルス支援に関わるAIを、人間の専門家を置き換えるものではなく、支援者と利用者を補助する技術として位置づけています。研究では、個人情報保護、研究倫理、説明可能性、公平性、安全性を重視し、臨床家・支援者・利用者と協働しながら、社会的に信頼できるAI支援の実現を目指します。

関連成果

『臨床行動情報学』関連書籍

​著書(主著のみ)

AI、メンタルヘルス、行動データ解析に関する国際論文

論文(英語のみ)

国内向け研究成果・外部資金成果

論文(日本語や外部資金含む)

 

研究プロジェクト

科学研究費

企業様との共同研究

 

社会実装

ベンチャー企業

連絡先

​横谷謙次

yokotaniresearch[アット]hotmail.co.jp

[アット]は@にご変更下さい。

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