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大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(Massive Multiplayer Online Games)で臨床試験を行って抑うつ症状を改善した成果がJMIR Serious Games(研究室教員の横谷謙次が筆頭著者)にて公開されました。


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大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(Massive Multiplayer Online Games)で臨床試験を行って抑うつ症状を改善した成果がJMIR Serious Games(研究室教員の横谷謙次が筆頭著者)にて公開されました。


要約

この研究では1105名の大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(Massive Multiplayer Online Games)ユーザーを実験群と統制群に無作為に割り当て、実験群にはこのゲーム上で仮想空間上の友人の家を訪問するように3カ月間介入を行いました。統制群はそのような介入はありません。その結果、実験群のみに抑うつ症状が有意に改善することが確認出来ました。


背景

メンタルヘルスの改善を目的に作られたオンラインゲームは効果があると報告されています。しかし、娯楽用に作られた大規模オンラインゲーム(MMOG)が、うつや不安の改善にも役立つのかは、これまで分かっていませんでした。

目的

この研究では、MMOGがうつ症状や社会不安を改善するかどうかを調べました。

  • 行動活性化理論:楽しい行動を繰り返すと、うつ症状が改善する。

  • 抑制学習理論:怖いと思っていた社会的な状況(人前に出るなど)に慣れることで、不安が減る。

方法

「ピグパーティ」を3か月以上使っている1,105人を2つのグループに分けました。

  • 実験グループ(548人):平日は友達の部屋のベルを鳴らす(注目を集める行動)、週末はアバターを着せ替えるように指示されました。課題を6割以上こなした人には追加の報酬を渡しました。

  • 待機グループ(557人):特に指示はせず、ランダムに報酬だけを渡しました。

両グループは、研究開始時と1・2・3か月後に「うつ」と「社会不安」の質問票に答えました。


結果

  • 実験グループは、待機グループよりもベルを鳴らす回数が多くなりました。

  • アバターの着せ替えについては、差は出ませんでした。

  • 予想通り、実験グループのうつ症状は有意に減少しました(効果は小さいものの確認できました)。

  • ただし、社会不安の改善は見られませんでした。

結論

MMOGに管理者が少し介入して課題を与えると、ユーザーのうつ症状がわずかに改善することが分かりました。ただし、社会不安については効果が見られず、今後はより洗練された暴露場面(アバターでパーティーに参加するなど)で検証する必要があります。



本論文の共著者

株式会社サイバーエージェント 学際的情報科学センターの高野雅典先生

京都大学人と社会の未来研究院の阿部修士先生

北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室の加藤隆弘先生


謝辞

本研究はサイバーエージェント様より研究資金を頂戴しております。


本研究の詳細情報

Yokotani K, Takano M, Abe N, Kato TAImprovement of Game Users’ Depressive Symptoms via Behavioral Activation in a Massive Multiplayer Online Game: Randomized Controlled TrialJMIR Serious Games 2025;13:e73734doi: 10.2196/73734PMID: 40991805PMCID: 12459738

 
 
 
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連絡先

​横谷謙次

yokotaniresearch[アット]hotmail.co.jp

[アット]は@にご変更下さい。

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